ETH/BTCレシオ10年史:全サイクルと割安シグナル判定

ETH/BTCレシオ10年史:全サイクルと割安シグナル判定

10年分のETH/BTCデータ。2016年以降の全サイクル表と、割安圏でETHが100%ビットコインに勝ったパーセンタイル法則、そして現在の水準を検証。

2026-07-30
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ビットコイン建てのイーサリアム、10年分のデータが語ること

2026年7月30日、1イーサは 0.02963ビットコインの価値だった。これがETH/BTCレシオのすべてである。ドル価格でも時価総額でもなく、1イーサが何ビットコインと交換できるかというだけの数字だ。ニッチな数字に聞こえるが、実際には暗号資産の世界で最も論争を呼ぶ数値である。イーサリアムビットコインの代わりに保有するという判断が正しかったかどうかを、この一つの数字が決めてしまうからだ。

本日の水準は2016年3月以降の全取引日の中で30パーセンタイルに位置する。過去10年の70%の期間より割安であり、2017年6月12日に記録した史上最高値からは80.3%下にある。イーサリアムはビットコインに対して長らく割安な状態が続いており、当然の疑問はそれが何を意味するのかということだ。

これは予測記事ではなくデータ記事である。以下の数字はすべて日足終値から算出しており、手法は末尾で全面的に開示しているので、読者自身で再現できる。

ETH/BTCレシオが実際に測っているもの

レシオとは単純にETH価格をBTC価格で割ったものだ。上昇すればイーサリアムがビットコインを上回っており、下落すればビットコインが勝っている。両辺とも暗号資産であるため、レシオはあらゆるドル建てチャートを支配する要因——暗号資産全体のサイクル——を除去し、相対的な強弱という問いだけを残す。

そのおかげで、トレーダーが実際に気にする幾つかの点について、最もクリーンな読み取りが可能になる。

  • 暗号資産内部のリスク選好。 ビットコインからイーサリアムへ(さらにそこから小型資産へ)資金が回転する動きは、歴史的にまずここに表れる。ビットコインのドミナンスサイクルとアルトシーズンの開始時期に関する当社のリファレンスは、同じ回転をドミナンス側から追跡したものだ。
  • 「イーサリアムは終わった」が価格の話かネットワークの話か。 レシオは価格の話である。利用状況や手数料、イーサリアムのロードマップについては何も語らない。
  • 相対価値のエントリー。 どのみち暗号資産を保有するなら、レシオはこのペアのどちら側が市場に割引されているかを教えてくれる。

一方、レシオが測っていないのは損益である。この区別が持つ意味は想像以上に大きく、後ほど改めて取り上げる。

SimianX AI ETH/BTCレシオの2016年から2026年までの対数スケール推移。2017年6月12日の最高値0.1503、2016年12月28日の最安値0.0077、そして30パーセンタイルに位置する本日の0.0296を示し、上昇局面と下落局面を背景色で区別している
ETH/BTCレシオの2016年から2026年までの対数スケール推移。2017年6月12日の最高値0.1503、2016年12月28日の最安値0.0077、そして30パーセンタイルに位置する本日の0.0296を示し、上昇局面と下落局面を背景色で区別している

2016年以降のETH/BTCサイクル一覧

以下が完全なサイクル表である。転換点は日足終値に対する 45%反転ジグザグで特定した。高値は、そこからレシオが45%下落して初めてスイングハイとして確定し、安値は45%上昇して初めて確定する。この閾値は意図的に粗く設定してある。通常の揉み合いを無視し、レンジそのものを定義し直した値動きだけを抽出するためだ。該当するのは16局面である。

#方向開始終了日数レシオレシオ変化ETHドルBTCドル
1下落2016-03-132016-04-26440.0352 → 0.0158−55.1%−48.7%+13.7%
2上昇2016-04-262016-05-19230.0158 → 0.0337+113.5%+98.1%−7.2%
3下落2016-05-192016-06-18300.0337 → 0.0150−55.5%−23.1%+74.3%
4上昇2016-06-182016-09-20940.0150 → 0.0237+58.3%+26.2%−20.8%
5下落2016-09-202016-12-28990.0237 → 0.0077−67.5%−46.6%+63.6%
6上昇2016-12-282017-06-121660.0077 → 0.1503+1,851.1%+4,980.2%+161.8%
7下落2017-06-122017-12-071780.1503 → 0.0250−83.4%+7.3%+546.4%
8上昇2017-12-072018-02-01560.0250 → 0.1129+351.6%+149.4%−44.7%
9下落2018-02-012018-03-29560.1129 → 0.0541−52.1%−62.9%−22.7%
10上昇2018-03-292018-05-16480.0541 → 0.0847+56.6%+84.0%+17.5%
11下落2018-05-162018-12-122100.0847 → 0.0259−69.4%−87.0%−57.6%
12上昇2018-12-122019-01-05240.0259 → 0.0405+56.2%+72.3%+10.6%
13下落2019-01-052019-09-062440.0405 → 0.0164−59.5%+7.0%+163.4%
14上昇2019-09-062021-12-088240.0164 → 0.0879+435.8%+2,522.3%+390.1%
15下落2021-12-082025-04-211,2300.0879 → 0.0181−79.5%−64.4%+73.2%
16上昇2025-04-212025-08-241250.0181 → 0.0421+133.2%+203.2%+30.0%

この表から、四つのことが直ちに読み取れる。

下落局面は上昇局面のおよそ2倍の期間続く。 上昇局面の中央値は75日で+123%、下落局面の中央値は139日で−64%だった。イーサリアムの超過リターンは短く激しい爆発として訪れ、劣後はじりじりと続く。

2021年から2025年の局面は別種のものだった。 第15局面は 1,230日——第1局面から第13局面までを合計したよりも長い——続き、レシオを79.5%押し下げた。期間の長さでこれに匹敵する局面は記録上存在しない。ETH/BTCに対する認識が2021年12月以降に形成されたのであれば、あなたは一つの局面しか見ていないことになる。

史上最高値と史上最安値はわずか半年しか離れていない。 レシオは2016年12月28日に0.0077で底を打ち、2017年6月12日に0.1503で天井をつけた——166日で19.5倍である。レシオが「あるべき」水準についてのいかなる主張も、半年のうちに19倍のレンジを走破したという事実に耐えなければならない。

第7局面こそ記憶すべきものだ。 2017年6月から12月にかけてレシオは83.4%下落した——記録上2番目に酷い崩壊である——にもかかわらず、イーサリアムはドル建てで7.3%上昇した。この期間にETHを保有していた人は全員、利益を出しながら同時に劣後したのである。ここから、このデータセットで最も有用な発見につながる。

レシオの下落は、損をすることと同じではない

ETH/BTCに関する論評の大半は、ここで誤る。レシオの低下がイーサリアムを保有すべきでない証拠として扱われるが、それが示しているのは常に、イーサリアムが「ビットコインより」劣る保有対象だということだけだ。

2016年以降のローリング365日ウィンドウをすべて測定した。そのうち 1,912本でレシオは下落していた。そしてそのうち 891本——47%——では、イーサリアムはドル建てでなお上昇していた。 ほぼ半分のケースで、「ETHはBTCに対して出血している」と「ETH保有者は利益を得た」が同時に成立していたのである。

暦年で見ると、より具体的になる。

ETH/BTCレシオETHドルBTCドル
2016−71.7%−28.5%+134.0%
2017+551.0%+8,889.4%+1,278.3%
2018−36.9%−81.9%−71.4%
2019−50.9%−10.7%+81.9%
2020+40.0%+462.0%+301.2%
2021+220.3%+404.2%+57.5%
2022−8.4%−68.2%−65.3%
2023−25.3%+90.1%+154.3%
2024−33.0%+42.3%+112.2%
2025−4.5%−11.6%−7.4%
2026年初来*−12.4%−36.1%−27.0%

2026年7月30日時点。

2023年と2024年、レシオはそれぞれ4分の1と3分の1下落した——にもかかわらずイーサリアムのドル建てリターンは +90.1%+42.3% だった。ETH保有者にとって比較的良好だった2年間が、レシオチャートの上では途切れない下落の一部だったのである。

もう半分の絵はあまり心地よくない。レシオは過去11暦年のうち8年で下落しており、上昇したのは3年だけだ。これは固定された中心値の周りを平均回帰する振動指標ではない。標本全体で見れば、時折爆発的な逆行を伴う下降トレンドの系列である。

SimianX AI 2016年から2026年までの暦年比較。ETH/BTCレシオの変化とイーサリアムのドル建てリターンを対比し、レシオが下落しながらETHがドル建てで上昇した2023年と2024年を強調している
2016年から2026年までの暦年比較。ETH/BTCレシオの変化とイーサリアムのドル建てリターンを対比し、レシオが下落しながらETHがドル建てで上昇した2023年と2024年を強調している

パーセンタイル法則:レシオの水準が予測してきたもの

レシオが相対価値の指標であるならば、誠実な検証方法は、その水準相対的なパフォーマンスを予測できるかどうかである。そこで直接検証した。2016年以降の全取引日を取り、その日のレシオを全履歴に対してランク付けし、五つのパーセンタイル区分に分け、その後の365日を測定した。

エントリー時のレシオ区分ウィンドウ数翌1年でETHがBTCに勝った割合ETH1年中央値BTC1年中央値
最安 0–20%758100%+873.2%+284.6%
20–40%54360%+62.8%+68.4%
40–60%60830%+25.5%+55.6%
60–80%75823%+21.6%+65.3%
最高 80–100%75710%−31.4%+23.0%

この関係は単調であり、傾きも急である。レシオが最安の5分の1にあるときにイーサリアムを買った場合、758本すべてのウィンドウで例外なくビットコインを上回った。最高の5分の1で買った場合、ビットコインを上回ったのは 10% にとどまり、61%のケースでは純粋に損失となった。

当然の反論は、最安区分が2016年の日付で埋まっており、それがたまたま2017年の熱狂の直前だったというものだ。もっともな指摘なので、初期の年を除外して2回再検証した。

標本最安20%がBTCに勝った割合最高20%がBTCに勝った割合
全標本(2016–2025年エントリー)100%10%
2016–17年を除外(2018年以降エントリー)100%11%
現代のみ(2020年以降エントリー)100%15%
— 2016/17除外時のETH1年中央値+117.3%−39.8%

2017年を外すと数値の大きさは大幅に縮む——2016/17を除いた中央値は+873%から+117%へ低下する——が、方向性はどの切り口でも生き残った。レシオが割安ならETHは上回り、割高なら下回る。これが結論である。

SimianX AI エントリー時のETH/BTCレシオのパーセンタイル区分ごとに、翌1年でETHがBTCを上回ったウィンドウの割合を示す棒グラフ。全標本、2016〜2017年を除外した標本、2020年以降の標本の三つを併記している
エントリー時のETH/BTCレシオのパーセンタイル区分ごとに、翌1年でETHがBTCを上回ったウィンドウの割合を示す棒グラフ。全標本、2016〜2017年を除外した標本、2020年以降の標本の三つを併記している

レシオは現在どこにあるか

本日の0.02963は30パーセンタイル、すなわち20–40%の区分に位置する。歴史的にこの区分はコイン投げに近い。全標本ではイーサリアムが翌1年でビットコインを上回った割合が 60%、2016–17年を除くと 57% である。五分五分よりは良いが、最安区分の全勝とはまるで違う。

直近の経路も重要だ。レシオは2025年8月24日に0.0421で天井をつけ、2026年6月6日に0.02578(−38.8%)で底を打ち、そこから +14.9% 戻している。2025年8月の高値からはなお29.7%下であり、したがって現在の局面はいずれの方向にも45%の確定閾値に達していない。決着済みのサイクルではなく、未完了・未確定のスイングである。直近30日ではレシオが +10.5%、イーサリアムが+22.2%、ビットコインが+10.6%だった。

ドル建ての背景として、2026年7月30日にイーサリアムは 1,920.90ドル、ビットコインは 64,840ドル で引けた。両者とも年初来で下落しており(ETH −36.1%、BTC −27.0%)、市場はタカ派のFRBと戦争由来のリスクプレミアムに支配されている。これはビットコインの66,000ドル回復や、CLARITY法による規制のリセットで追跡してきたのと同じ力学だ。

記しておくべき三つの水準

水準内容重要な理由
0.025782026年6月6日の安値現在の局面の底。日足終値がこれを下回れば2025年の0.0181の安値が再び視野に入る
0.0296本日30パーセンタイル——「やや割安」区分の境界
0.04212025年8月24日の高値これを上回って引ければ第16局面の再開が確定し、2025–26年の下降局面が終わる

0.0332を超えるとレシオは20–40%区分を離れてレンジの中央3分の1に入り、そこでは歴史的な優位がイーサリアムに不利へ転じる。0.0421を超えれば第16局面が明確に再開する。0.0250を割り込めば最安区分に戻る——758本のウィンドウの標本において、1年の尺度でビットコインに負けたことが一度もない唯一の区分だ——そして0.0181を割れば10年ぶりの安値となる。

一日中チャートを見ずに追う方法

レシオはゆっくり動いた後に一気に動く。まさに、凝視するのではなく自動化すべき種類のものである。

  • SimianX AI はペアの両辺にマルチエージェント分析を実行する——テクニカル、ファンダメンタルズ、ニュース、そして意思決定エージェント——ので、切り離された二つのチャート画面ではなく、同一のフレームワークでETHとBTCを読める。
  • AIモデル・リーダーボード——6プロバイダーの30のAIモデルが実際のポジションで取引しており、センチメントを推測するのではなく、どのモデルが実際に ETH 側か BTC 側かを直接確認できる。
  • ライブ分析セッション——ETH-USDTまたはBTC-USDTでセッションを開始し、エージェントが上記の水準を順に検討する様子を見る。
  • SimianX オートパイロット はあなたのスケジュールで分析を再実行し、「レシオが0.0421を上抜けて引ける」といった条件が実際に成立したときに通知する。
  • マーケットパルス は暗号資産と株式の52週・30日の極値が出現した時点で検出する。

この種の判断で歴史的に的中率の高いモデルを知りたければ、完全なスコアボードをどのAIモデルが最良のトレーダーか?に、ドローダウン時の挙動の分析をAIモデルは暴落でパニック売りするか?に掲載している。

よくある質問

ETH/BTCレシオはどの水準で買うのが良いのか。

歴史的には、レンジの最安5分の1——現在の標本では 0.0250以下——が、1年の尺度でビットコインを100%上回った唯一の区分である。本日の0.0296は20–40%区分にあり、勝率は約57–60%だ。優位ではあるが、保証ではない。

ETH/BTCレシオがこれほど長い下落から回復したことはあるのか。

2021年から2025年の下落は1,230日続き、125日で133%の反発をもって終わった。その前、2019年の下落は244日続き、その後824日間・+436%の上昇が続いた。長期の下落は確かに終わるが、チャートだけから予測できるスケジュールで終わったことは一度もない。

ETH/BTCレシオの下落はイーサリアムの失敗を意味するのか。

意味しない。イーサリアムがビットコインに劣後していることを意味するだけだ。レシオが下落したローリング1年ウィンドウの47%で、イーサリアムはドル建てでなお上昇していた。2023年と2024年にはレシオが25%と33%下落する一方、イーサリアムのリターンは+90%と+42%だった。

ETH/BTCの史上最高値はいくらか。

日足終値ベースで、2017年6月12日の0.15029である。本日のレシオはその水準を80.3%下回っており、3,335日が経過している。

レシオは平均回帰するのか。

固定水準の周りには回帰しない。過去11暦年のうち8年で下落しているため、特定の数値を「フェアバリュー」とみなす根拠はない。パーセンタイルの枠組みがより有効なのは、想定された中心値ではなく、実現したレンジに対する相対値だからである。

ビットコイン自身のサイクルと比べるとどうか。

ビットコインのドローダウンと回復の記録はビットコインの50%超の暴落すべてに、季節性はビットコイン四半期リターン完全履歴表に、供給サイクルの枠組みはビットコイン半減期サイクルにまとめている。

手法と限界

価格は Bitfinexの公開APIの日足終値を用い、ETH/BTC、ETH/USD、BTC/USDを対象に2016年3月9日から2026年7月30日までをカバーしている——完全なレシオ系列を持つ3,789取引日である。Bitfinexを選んだのは、主要取引所の中で最も長い連続したETH/BTC履歴を保有しているためだ。現在の水準は OKX(0.02963)と CoinGecko(1,918.78ドル/64,754ドルから導かれる0.029631)と突き合わせ、小数点以下5桁まで一致することを確認した。

サイクルの転換点は終値に対する45%反転ジグザグを用いている。パーセンタイル区分は各取引日のレシオを全標本に対してランク付けし、その後の365暦日を測定する。完全な1年の先行期間を持たないウィンドウは除外しており、これがエントリー標本が2025年半ばで終わる理由である。

明言しておくべき限界が三つある。ウィンドウの重複——連続する日次エントリーは先行1年の大半を共有するため、一区分の758本は758の独立観測とはほど遠い。これらの割合は記述統計として扱うべきで、有意性検定ではない。レジーム依存——最安区分は2016年、2019年、2020年、2025年に大きく依存しており、これらは大きく異なる四つの市場である。枠組み自体の生存バイアス——レシオの水準は多数の入力の一つにすぎない。マージ、ETFの承認、2026年の規制変更はいずれも、価格比では捉えられない形で原資産そのものを変えた。

以上はいずれも投資助言ではない。計算過程を開示したリファレンス表にすぎない。

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